住宅ローン弁済許可申立書の具体的な書き方と提出方法について詳しく解説していきます。
住宅ローンだけは一般の債権者と違って、そのまま支払いをしていいんですよね?
住宅ローンのリスケジュールをしない場合でも何か特別な手続きが必要なんですか?
住宅ローンの弁済許可申立書は、住宅資金貸付条項を利用するのであれば、住宅ローンリスケジュールをする・しないに関わらず、必ず提出しなければならない書類です。
この記事は、既に住宅ローン債権者との交渉を終えていることを前提としています。
住宅ローン弁済許可申立書とは
債務者の借金を減額しつつ、生活の基盤となる持ち家を守るための仕組みとして誕生したのが住宅資金特別条項です。
個人再生手続きの際にこの制度を利用することで、住宅ローンは再生債権から除外され、再生債権とは別に返済を継続することができますが、そのためには、住宅ローンの弁済許可申立をして、裁判所から許可を得る必要があります(民事再生法197条3項)。
1 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている前条第三号に規定する抵当権の実行手続の中止を命ずることができる。
2 第三十一条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による中止の命令について準用する。
3 裁判所は、再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
出典:e-Govポータル 民事再生法197条
住宅ローン弁済許可申立書の書き方
基本書式
基本的な書式の書き方はこちらです。
個々の住宅ローン契約に応じて、主に赤枠で囲まれた部分を加筆修正します。
住宅ローンの契約書が複数存在する場合
最初に借り入れを行った際の契約だけでなく、その後に変更契約(金利の変更や返済条件の変更など)がある場合は、全ての契約について記載します。
申立時にリスケジュールが完了している場合
住宅ローン債権者とリスケジュールについて合意ができ、正式な変更契約の締結も済ませて、変更契約のとおりの支払いを開始している場合の書式です。
申立後、再生手続中にリスケジュール予定の場合
住宅ローン債権者とリスケジュールについて合意をしており、近々そのリスケジュール条件での支払方法に変更するけれども、再生申立段階では正式な変更契約の締結までは至っていない(または、変更契約締結はできているが、変更契約での返済開始は申立後になる)場合の書き方です。
住宅ローン債権者から、「変更契約案」のような書類が発行されている場合は、「○月○日付け変更契約案記載の支払いのとおり」と記載するだけで大丈夫です。
リスケジュールが再生計画認可決定確定後になる場合
住宅ローン債権者との間で、将来的にリスケジュールをすることについて合意をしているけれども、再生申立段階では変更契約の締結は行なっておらず、正式な変更契約締結は再生計画認可決定が確定してからになる場合は、基本的な書式と同様に、変更前の契約に倣って記入し、弁済許可申立書では変更契約については言及しません。
しかし、それだけでは住宅ローンをリスケジュール予定であることが裁判所に伝わりませんので、再生計画認可決定確定後に変更契約を締結することが住宅ローン債権者との間で合意できている旨の上申書を提出します。
上申書の書式は追記予定です!
住宅ローン債権者が複数の場合
住宅資金貸付条項に該当する債権者が複数存在するケースもあります。
例えば、
- 住宅金融公庫と銀行の合計2口の借り入れをしている場合
- 購入時の借り入れから数年後にリフォームのための借り入れをしている場合
などが挙げられます。
このような場合は、債権者ごとにひとつずつの申立書を作成します。
住宅ローン弁済許可申立書の提出方法
弁済許可申立書は、個人再生申立書を裁判所に提出する際に、一緒に提出します。
同じものを2通作成して提出します。※手数料(収入印紙)は不要です。
前項の書式のとおり裁判所に提出すると、1枚目の空欄に許可する旨が記入・押印され(または別紙として綴じられて)、証明書として交付されます。
弁済許可決定は、通常、再生手続開始決定と同時に下されます。
住宅ローン債権者には、許可印の押された許可証明書の写しを郵送しておきましょう(裁判所からは住宅ローン債権者に送達されません)。
そして、再生手続中も、引き続き返済を行っていきます。
おわりに
以上、住宅ローン弁済許可申立書の書き方について解説しました。
この書式は定型的なものなのですが、住宅ローンの契約書は金融機関によって様式が違いますので、細かい部分の記載について意外と悩むことが多いのではないでしょうか。
今日も笑顔でがんばりましょう!