訴訟委任状は、示談交渉や債務整理など、裁判外の手続きにも使用します。
委任状って、依頼者の住所とお名前を書いてもらって、印鑑を押してもらうだけですよね?何か難しいことがあるの?
難しくはないのですが、いくつか気をつけないといけないことがあるんですよ。いざ記入してもらう段階になると、意外と悩むことが出てきます。
訴訟委任状の正しい書き方について調べようとしても、あまり見つけることができないのではないでしょうか。
悩みやすいポイントについて詳しくまとめました。
委任状の書式見本
委任状のひな形は各地の弁護士会ホームページなどからダウンロードすることができます。この書式は定型的なものですので、弁護士情報の部分のみを編集して使用します。
委任状の書き方
依頼者に記入していただく部分
依頼者に記入していただくのは、この部分です。
住所と委任者欄を自署、押印してもらいます。
住所欄の記入
依頼者が個人の場合は住民票の表記のとおりに、法人の場合は登記事項証明書のとおりに記入してもらいます。
住民票が「東京都千代田区〇〇町1丁目3番地4 東京千代田マンション306号」となっているのに、「東京都千代田区〇〇町1-3-4 306号」と省略するのはダメです。 *令和5年11月追記 最近はそれほどうるさく言われなくなり、「東京都千代田区〇〇町1-3-4 東京千代田マンション306号」でも受け付けてもらえることが多くなりました。
できれば現住所と住民票が一致しているほうがあとあと面倒を避けられます。住民票を移す予定がないかどうか確認しましょう。
委任者欄の記入
委任者が個人の場合は、お名前を戸籍表記のとおりに自署してもらいます。
委任者が法人の場合は、以下のように会社名と代表者名を併記します。
東京商事株式会社
代表者代表取締役 東京 太郎
・(株)(有)というような略称は使用しません。
・代表者名を記入する際に、代表取締役の記載の前に「 代表者 」を忘れずに記入します。
・印鑑は会社の代表者印を使用します。
・訴状を提出する際には、会社の登記事項証明書を添付します。
特殊な場合
自営業者で屋号をお持ちの場合は、「 東京商店こと東京太郎 」のように記入します。
芸名・通称がある場合は、芸名・通称と本名の両方を記入します。
例 TOKYOタロウ こと 東京太郎 (「芸名・通称」こと「本名」)
依頼者が未成年の場合は、まず未成年者の住所・氏名を記載し、その下の行に親権者(通常両親がいる場合は両親)の住所・氏名を下記のように記入します。
住所 千葉県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 東京 一郎
住所 東京都千代田区○○町○丁目○番○号
法定代理人親権者父 東京 太郎 印
法定代理人親権者母 東京 花子 印
未成年者の押印は不要です。訴状提出の際は、親権者の戸籍謄本を添付します。
事務所で記入する部分
事務所で記入するのは、この部分です。
依頼者が被告または相手方の場合
訴状または申立書に記載されているとおりに記入します。事件欄は事件番号のみでも大丈夫です。
依頼者が原告または申立人の場合
上の画像のように、被告(相手方)名、訴状(申立書)提出予定の裁判所名、事件名を記入します。
被告(相手方)が複数の場合は、「( 代表者名 )外○名 」と記入します。
被告(相手方)が千葉花子さんを含む全員で5名の場合は、「千葉花子 外4名」となるんですね!
委任状を訂正するには
どうしよう!書き間違えちゃった・・・
大丈夫!こんな時のために捨印を押してもらっているので、簡単に訂正できますよ!
委任状の訂正は、このようにして行います。
おわりに
以上、訴訟委任状の書き方について解説しました。
意外と気を付けないといけない事柄が多かったのではないでしょうか。
今日も笑顔でがんばりましょう!