家庭裁判所での調停、審判、訴訟等の裁判係属中に、依頼者の住所等が変更された場合の手続について解説していきます。
なお、この記事では、住所等の情報について、相手方に対して秘匿する必要がないことを前提にしています。
家事事件係属中の住所等変更について
家庭裁判所での裁判手続は、当事者の主張が折り合わない場合、長期にわたることが珍しくありません。何年も裁判を続けている間には、当事者が引越をしたり、結婚・離婚・養子縁組等の理由から氏名に変更が生じたりすることもあります。
裁判が終了すると、裁判所から交付を受けた調停調書や審判、判決に基づいて、離婚届や相続登記、遺産口座払戻等の手続などを行うことになります。そうした関係機関での各種手続の際に、調書・審判、判決等に記載された情報と現況が一致していない場合には、改めて現在の情報との連続性を証明する書類を提出することが必要となります(たとえば、調書等に記載の住所から現在の住所に至るまでの経過が記載されている住民票または戸籍の付票など。)。
裁判終了後の各種手続を円滑に行うためには、調停調書や審判、判決等に正確な情報が記載されるように、変更事項があった場合はできるだけ速やかに裁判所に報告を行う必要があります。
依頼者の方から住所等変更等についての連絡を受けたら
依頼者の方から、住所や氏名の変更を行った、もしくは近々変更を行う予定であるという連絡を受けたら、その変更を証するための書面(住民票謄本・戸籍謄本等)を事務所に届けてもらうようにお願いしましょう。
住民票謄本は、マイナンバー・個人番号を省略したものを取得してもらうようにしましょう。
もしもマイナンバー等が記載されていた場合は、裁判所に提出する際に該当箇所を黒塗りする必要があります。
家庭裁判所への報告は、特に期限などが設けられているわけではなく、緊急を要するものではありません。従って、そこまで急ぐ必要はありませんが、日常の業務に忙殺される間に手続を忘れることのないように気を付けましょう。
住所変更等の上申書
住所変更等の上申書の書式です。
住民票に記載されているとおりに記入しましょう。
住所変更の上申書(家事事件)
住所・氏名変更の上申書(家事事件)
裁判所に上申書を提出する際の注意事項
裁判所に上申書を提出する際の注意事項は以下のとおりです。
提出先
提出先は、事件が係属している家庭裁判所です。正本1通のみを提出します。
相手方には提出する必要はありません。また、裁判所から相手方に副本が送達されることもありません。
提出方法
裁判所に直接持参するほか、裁判所が遠方の場合は郵送で提出します。
上申書自体はFAX送信してもよいのですが、住民票等の謄本を添付する必要があるためです。
すぐに提出しなければならない性質の書類ではないので、次回期日に弁護士から提出してもらっても良いでしょうか?
大丈夫です!
管理人は大体そうしてもらっています。
添付書類・手数料等
添付書類として、変更を裏付ける住民票謄本や戸籍謄本を提出します。
手数料(収入印紙)や郵券等は不要です。
おわりに
以上、家庭裁判所での調停、審判、訴訟等の裁判係属中に、依頼者の住所等が変更された場合の手続について解説しました。
緊急性のない事柄なので、手続自体を忘れることのないように気を付けましょう。
今日も笑顔でがんばりましょう!