控訴状の提出方法と添付書類について解説します。

控訴状の提出方法と添付書類について詳しく解説していきます。

りか

弁護士から、「控訴を提起するのでこの控訴状を提出しておいてね」と言われたけれど、具体的にどうすればいいのか戸惑っている方のための記事です。

目次

控訴とは

第一審の判決に不服がある場合に、上級の裁判所に対してその判決の確定を遮断して新たな判決を求める不服申立てのことを、「控訴の提起」といいます。

第一審が簡易裁判所の場合は地方裁判所に、地方裁判所の場合は高等裁判所に対して控訴を行います。

なお、控訴審(第二審ともいいます)判決に不服がある場合は、さらに上級の裁判所に対して不服申立を行って新たな判決を求めることができ、これを「上告の提起」といいます。

第二審が地方裁判所の場合は高等裁判所に、高等裁判所の場合は最高裁判所に対して上告を行います。

このように、日本では、当事者が望めば、原則的に3回までの反復審理を受けられるという制度を採用しており、この制度のことを、「三審制」といいます。

りか

つまり、第二審判決を求める訴えのことを「控訴」、第三審判決を求める訴えのことを「上告」といい、さらに、これらの「上級の裁判所に対して再度の判断を求めること」をまとめて「上訴」といいます。

この記事では、「上訴」のうち、第二審の裁判所に対して行う「控訴」の提起に伴う、控訴状の提出方法等について解説していきます。

控訴期間について

控訴は、いつでも自由に行うことができるわけではありません。

控訴期間は、判決の送達を受けた日の翌日から起算して2週間です(民事訴訟法第285条)。

この期間を過ぎてしまうと、控訴提起ができなくなり、第一審の判決が確定してしまいます(相手方も控訴を行わなかった場合。)。依頼者との打ち合わせや、資格証明書の取得などに時間を要する場合がありますので、控訴期間の最終日がいつになるのかをしっかり確認しておきましょう。

りか

管理人は、判決文の右上に鉛筆で受領の日付を記入しています。

控訴期間の日数計算方法について

  • 判決を受領した当日は、日数計算に算入しません。
  • 控訴期間がいつからいつまでになるのかは、当事者によって異なります。
    • 例えば、 原告は6月1日に判決を受領し、被告は6月4日に受領した場合、原告の控訴期間は6月2日から6月15日までの14日間、被告の控訴期間は6月5日から6月18日までの14日間となります。
  • 最終日が土日祝日又は年末年始(12月29日~1月3日)であるときは、その翌日(その翌日が土日等であれば更にその翌日)が最終日となります。
    • 例えば、12月17日に判決を受領した場合に、14日目は12月31日となりますが、この日は年末年始に当たるので、控訴期間は1月4日までとなります。

控訴状の提出方法と添付書類

控訴状の提出方法等について具体的にご説明します。

控訴状の提出先

控訴状の提出先は、第一審が係属していた裁判所です。

つまり、第一審の判決を下した裁判所に提出をします。

  • 第一審の判決が〇〇簡易裁判所  →  〇〇簡易裁判所に提出。
  • 第一審の判決が△△地方裁判所  →  △△地方裁判所に提出。 

そして、第一審の裁判所が控訴裁判所に控訴状と第一審の事件記録を移送します。

間違えて控訴裁判所に直接提出をしてしまわないように気を付けましょう。

控訴状の1頁目には、「〇〇高等裁判所 御中」(第二審が地方裁判所になる場合は、「〇〇地方裁判所 御中」)と書かれているため、業務に忙殺されているときなどは、うっかりして控訴裁判所に提出してしまいそうになります。

りか

実際、管理人が新人の頃、うっかりして高等裁判所に提出してしまったことがありました。
この時は、高等裁判所が職権で第一審の地方裁判所に移送してくれたので事なきを得ましたが、管理人のようなミスをしないように気を付けましょう。

控訴状に添付する書類

控訴状に添付する書類(委任状・資格証明書)は、基本的に、第一審での訴訟提起の際に提出する書類と同じものを提出します。

そのほかに、収入印紙・切手(切手は現金納付も可能です)を提出しますが、こちらは事件や訴額、管轄裁判所によって異なりますので、各裁判所の運用等をご確認ください。

資格証明書は、第一審で提出した書類と全く同じ書類になるとしても、必ず提出します。

  • 委任状   ・・・ 詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
  • 資格証明書   ・・・ 詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
  • 収入印紙   ・・・ 事件や訴額によって異なります。
  • 切手     ・・・ 管轄裁判所によって異なります。
りか

余談ですが、最低限、控訴状と委任状のみ控訴期間に提出ができさえすれば、資格証明書や収入印紙・切手は後の追完でも大丈夫です。

控訴状の副本について

控訴状は、裁判所用の正本の他に、相手方(被控訴人)用の副本も提出します。

この副本は、相手方(被控訴人)の人数分必要です。

第一審では複数の相手方(被控訴人)に共通の代理人がついていたとしても、第二審でも同じ弁護士が代理人となるかどうか分からないためです。控訴状は、原則として、控訴裁判所から相手方(被控訴人)各々に送達されます。

例えば、相手方(被控訴人)が3名の場合、裁判所に提出する控訴状は、裁判所用正本1通+相手方(被控訴人)用副本3通の、合計4通です。

控訴状の提出方法

控訴状は、正本、副本とも第一審の裁判所に提出します。

第一審の裁判所が遠方の場合は、郵送で提出します。

郵送での提出になる場合、裁判所への到着が控訴期間を過ぎてしまわないように十分に注意しましょう。

控訴状は、FAXで提出することはできません。

りか

反訴状は、民事訴訟規則3条1号の規定により、ファクシミリを利用して送信することにより提出することができないとされる、「民事訴訟費用等に関する法律の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面」、および、同規則同条2号の規定により、「その提出により訴訟手続の開始、続行、停止又は完結をさせる書面」にあたるからです。

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おわりに 

以上、控訴状の提出方法と添付書類について解説しました。

特に、控訴期間を過ぎてしまわないこと、控訴状は控訴裁判所ではなく第一審の裁判所に提出するということに気を付けましょう。

りか

今日も笑顔でがんばりましょう!

      

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