反訴状の提出方法と添付書類について詳しく解説していきます。
弁護士から、「反訴を提起するのでこの反訴状を提出しておいてね」と言われたけれど、具体的にどうすればいいのか戸惑っている方のための記事です。
反訴とは
被告が、係属中の訴えに対し、その訴訟手続で審理されるように関連のある訴えを提起することを、「反訴の提起」といいます。
1 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
1 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。2 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
出典:e-Govポータル 民事訴訟法146条 (反訴)
2 本訴の係属する裁判所が第6条第1項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第1号の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
4 反訴については、訴えに関する規定による。
反訴状の提出方法と添付書類
反訴状の提出方法等について具体的にご説明します。
反訴状の提出先
反訴状の提出先は、本訴が係属している裁判所です。
反訴状に添付する書類
反訴状に添付するものは、基本的に、収入印紙のみ(手数料が必要とされる場合)です。
通常、訴訟提起の際に添付する以下の書類は、反訴提起の場合は不要です。
- 委任状 ・・・ 本訴で答弁書と一緒に提出済みであるためです。
- 資格証明書 ・・・ 資格証明書は、本訴で原告側が訴状と一緒に提出済みであるためです。
収入印紙について
反訴状に添付する収入印紙は、訴状と同様に訴額に基づいて算出されますが、本訴と反訴の目的が同一である場合は、手数料は不要になります。
また、本訴と反訴の目的が異なる場合は、異なる部分についての訴額に応じた手数料が必要とされます。
反訴状の副本について
反訴状は、裁判所用の正本の他に、相手方(反訴被告)用の副本も必要です。
この副本は、相手方複数の場合でも、本訴の代理人が共通の場合は1通で大丈夫です。
つまり、相手方(反訴被告)が何名でも、同じ弁護士を代理人としている場合、裁判所に提出する反訴状は、裁判所用正本1通+相手方(反訴被告)用副本1通の、合計2通です。
郵券について
相手方(反訴被告)に反訴状を送達するための郵券が必要かどうかは、場合により異なります。
- 相手方代理人弁護士が裁判所近郊在住の場合 ・・・ 郵券は不要(相手方代理人弁護士が裁判所へ直接副本を受け取りに行くため)
- 相手方代理人弁護士が遠方の場合 ・・・ 郵券が必要(裁判所から相手方代理人弁護士へ特別送達されるため)
なお、相手方(反訴被告)に代理人がついていない場合は、原則として、裁判所近郊在住でも裁判所から特別送達される扱いになります。判断に迷う場合は、反訴状提出前に裁判所に問い合わせましょう。
特別送達料金とは、一般書留料金(480円) + 特別送達料金(630円) + 基本料金 です。
よって、基本料金が84円(郵便物の重さが25グラムまで)の場合は、1194円になります。※令和5年10月現在
反訴状の提出方法
反訴状は、正本、副本とも裁判所に提出します。
相手方に直送しないように気をつけましょう!
裁判所が遠方の場合は、郵送で提出します。
反訴状は、FAXで提出することはできません。
反訴状は、民事訴訟規則3条1号の規定により、ファクシミリを利用して送信することにより提出することができないとされる、「民事訴訟費用等に関する法律の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面」にあたるからです。(収入印紙の添付が不要な場合でもファクシミリ利用はできません。)
おわりに
以上、反訴状の提出方法と添付書類について解説しました。
初めて、もしくは久しぶりに反訴状を提出する場合は意外と迷う事柄があると思います。
今日も笑顔でがんばりましょう!