不動産仮差押命令申立事件の取り下げの際に住所の秘匿を行いました

不動産仮差押命令申立事件の取り下げの際に、当事者目録の依頼者(=債権者)現住所を秘匿した経験についてお話しします。

りか

今回は、当事務所で実際に取り扱ったちょっと特殊なケースに基づいて解説していきます(モデルケースは架空の設定です)。

目次

住所の秘匿に至った事情

今回のモデルケースとなる、不動産仮差押命令申立事件の当該不動産は、婚姻生活時に夫婦で居住していた物件でした。申立時には債務者(=相手方・元配偶者)が家を出ており、その不動産には依頼者が住んでおられましたが、住宅ローン債権者から担保不動産競売申立をされた時点で依頼者もまた家を出て転居されていました。

取り下げに至るまでの経緯についてはこちら

しかしながら、不動産仮差押命令申立事件の取下書には、取り下げ時の住所を記した当事者目録を添付する必要があり、この取下書の副本は債務者(=相手方・元配偶者)に送達されますので、依頼者の現住所が元配偶者に知られてしまうことになります。依頼者は、元配偶者が自宅に訪れて暴力的な行動に出ることを危惧されており、現住所を明かすことはなんとしても避けたいという要望を持っておられました。

そこで、なんとかできないかと検討した結果、次の方法を試してみることにしました。

  • 取下書には、現住所を秘匿した当事者目録を添付する
  • 取下書と一緒に住所秘匿の申出書を提出する

最近は物騒な事件も多いですし、できるだけ紛争の相手方には個人情報を知られたくないですよね…。

りか

そうですね。自分の身を守るための予防措置をとることはとても大事だと思います。具体的な書式については次項で詳しく説明します。

今回のケースでは、担保不動産競売(および債権届出)を経て仮差押登記が抹消されており、あとは担保の取り消しと取り下げを行なって事件を終了させるだけですが、通常の訴訟などの場合は、住所を秘匿することで、住所の連続性が確認できなくなることから、判決等で決まった内容を実現するための強制執行の手続に支障が生じたり、不動産の登記手続ができないなどの問題が生じることがありますので注意が必要です。

住所を秘匿する方法

取り下げの際に債務者(=相手方・元配偶者)に依頼者の現住所を知られないようにするために、以下の2点を実行します。

  • 取下書には、現住所を秘匿した当事者目録を添付する
  • 取下書と一緒に住所秘匿の申出書を提出する
りか

では、それぞれの書式の具体的な書き方を見ていきましょう

当事者目録(住所を秘匿したもの)

当事者目録(住所秘匿)
  • この当事者目録を物件目録と一緒に不動産仮差押命令取下書に綴ります。
  • 裁判所には正本・副本の2通を提出します。
  • 手数料(収入印紙)は不要です。
  • 取下書の副本は債務者にも送達されますので、郵便切手84円を添付します。

取下書についての詳しい解説はこちら

住所秘匿申出書

住所秘匿申出書
  • 裁判所には、正本のみを提出します。
    • 債務者には副本送達されません。
  • 手数料(収入印紙)は不要です。
りか

なお、裁判所には特に事前連絡などをせずに提出に行きましたが、すんなり受付をしてもらえたので、現住所の届出は行っていません。

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おわりに

以上、不動産仮差押命令申立事件の取下げの際に住所の秘匿を行った経験についてお話ししました。

特殊なケースですが、同じような状況でお困りの方のお役に立てれば幸いです。

りか

今日も笑顔でがんばりましょう!

  

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